2024年11月の活動報告
はじめに
11/26から第4回定例会が始まりました。議会のない期間は、次の委員会や質問に向けて、調査・学習を重ねます。また、積極的に街を歩いたり、駅などでご挨拶をさせていただいたり、区民の皆さまの声を直接お聞きするよう心がけています。
今月は、インクルーシブ教育を考える個人視察、公務その他イベントなどでの活動を報告いたします。
インクルーシブ教育を考える個人視察
①医療的ケア児
令和3年に『医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律』が施行されています。台東区では、希望に応じ地域の学校へ登校しています。
Aちゃんの通学〜2時間目までの様子を見させていただきました。看護師による通学支援もありますが、Aちゃんは保護者さんと、いわゆる大型車椅子で通学し、看護師に引き継がれそのまま校内〜教室に入ります。学校は、車椅子が入っても十分なスペースが確保される作りになっています。
支援員や看護師による支援体制は、昨年度と今年度で一部異なる形態を取っていますが、引き続き個別の対応が行われています。特に授業中の手助けやデジタルツールの活用により、Aちゃんが積極的に授業に参加できる環境が整備されています。また、保護者さんの「Aは普通の子なんです」という言葉から、インクルーシブ教育の意義を改めて感じる機会となりました。
②重症心身障害児や医療的ケア児の放課後事業
台東区では今年度からスタートしました。Bちゃんは特別支援学校から直接移動、ここで過ごした後はご自宅まで送迎があります。Bちゃんは学校と家庭以外の居場所も増えて、保護者さんは職場復帰も行えています。
一人ひとり違った介助の方法は看護師によりカード化されており、お部屋は、一人ひとりに合った工夫がされていました。トイレの壁には手のマーク!トイレではここに手を付いて下着を下げるように教えるためのマークで、ゴロン防止に役立っています。工夫次第で過ごしやすくなります。
施設の1日の定員は5人ですが、満たすことは出来ていません。区外からも受け入れの希望があるほどに需要があるものの、人員不足により不可能となっています。もう1人の運転手さんと保育士さんの確保があれば受け入れたいとのこと。全国的な人材不足がここにも現れています。このような施設の充実には、地域と行政が連携して人材確保に取り組む必要があると感じました。
③特別支援教室
通常学級に在籍している児童生徒が、主に週に一時間だけ別室で学ぶ教室です。視察した日時においては、情緒障害のある3名の児童がパーテーションで分けられ一対一で学んでおりました。一人ひとりに応じた授業内容が行われ、学んだことは通常学級でも応用されていきます。私が見学した授業は、障害があるとされている子にとっても、そうでない子にとっても、有意義なものだと感じました。どの授業をお休みして特別教室に出席するか?なども個別に配慮されているとお聞きしました。
東京都では、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成され、“1年間しか在籍できない・最長2年まで“という考えではなくなっています。また、台東区では年度途中でも、困っている児童がいれば受け入れる努力をしています。
教材は、通常教室で使うものよりも価格が高く、予算内では厳しいとお聞きしました。
通常学級の在籍を基本として、必要に応じて個別に別室で学ぶ。特別支援学級や特別支援学校を増やすのではなく、『特別支援教室』の考え方が、社会の縮図としての学校のあり方の基盤になり得ると考えています。
④特別支援学級
1時間目の授業が始まった頃、小学校に入り2階に上がると、校長先生とCさんが床に足を投げ出し座っておられました。その姿を見て、「よい学校に違いない」と確信。児童の視線の高さまで腰を屈めるどころか、同じ姿勢をとることで、より児童に寄り添い児童の安心に繋がる。「床に座ってはいけません」「椅子に座って話しましょう」ともすると「今は授業の時間です」となりそうな場面。
そして、特別支援学級へ。教室は通常の児童もよく通る場所にあり、イベントの時だけでなく普段から交流も得られる造りのよう。また、どの教室も採光が良く、職員も児童も気分良く過ごせそうです。
書道、図工、算数の授業を見させていただきました。支援学級と通常級で使うものの違いは、体操服を入れるのは袋ではなく風呂敷にして包む練習を兼ねる、連絡帳は1枚ずつバラタイプの帳面にして紐で結ぶ練習を兼ねる、その位のようです。
始めや終わりのあいさつなど、通常の学級とほぼ変わらず、学習時は別クラスかもしれないけれど、学級は分けなくても良いのではないかと感じました。
公務・その他イベントなど
11/3 第57回台東区文化祭
美術や川柳、写真の展示の他、歌や踊りなどの舞台発表がありました。台東区は多才な方々が多いと改めて実感しました。練習と発表の場があること、何より楽しんでいることが所以かもしれません。
文化・芸術・伝統を守ることは大切な政治の役目です。
11/3 エンドレスジャーニー展
国境なき医師団による世界での紛争やジェノサイドで犠牲になっている人々の現況展示。非人道的な扱いを虐げられている収容所を再現した狭いスペースに入ると、現地で収録された音声が流れ、座り込んでいる人々が描かれていました。
強いられた旅路を終わらせよう。
11/9 第6回たいとう地域包括フォーラム「介護する人・される人にやさしい認知症ケア」
“介護する人“が少しでも心安らげるように、気分転換のあり方や、介護する上での考え方の転換を教えて頂きました。例えば、仕事を引退したはずの認知症の家族が出勤しようと着替えを始めたとき、否定すると喧嘩になってしまいがち。「私もついでがあるの」と一緒に外を出て散歩をしてみる。しばらく歩き「寒くなってきたから帰りましょうか?」「そうだね」と無事帰路につく。そんな動画も提示されました。
現実はそうもいかないと、厳しい状況であることも理解します。しかし、介護する人・される人どちらにも優しい対応のあり方を考えていくことが大切だと考えます。
11/16 台東区立松葉小学校 創立120周年記念式典
創立120周年、おめでとうございます。
関東大震災、東京大空襲、その後も廃校の危機を、地域住民の力で乗り越えて来た学校です。
それゆえに、“不滅の松葉“と言われる松葉小学校の地域は、住民が子どもたちを見守り育てている姿が見受けられます。都会でもあり下町でもある台東区の良さを象徴するような学校です。
11/16 滝山病院事件はまだ終わっていない 第3弾
経営陣が変わり名を変えたとはいえ、過去の虐待を見過ごすわけにはいきません。
日本は国策により突出して精神科病床の多い国。「知らない」ことは不安を生み、差別や偏見を助長してしまう恐れがあります。社会や教育を根本から変えていく必要を感じます。
病院か家かで、家族を追い詰めるような選択でもなく、地域で共生、福祉で守るあり方に変える時ではないでしょうか。
11/17 環境フェスタたいとう
クイズやスタンプラリーで環境を学べる恒例のフェスタ。
2050年まであと25年…ゼロカーボンシティの実現には程遠い現在、危機感は募るばかりですが、楽しみながら、かつ確実に実現に向けて省エネ創エネ&環境に優しい生活を皆で心がけたいです。消費量の多い台東区だから、地方に負担や犠牲を強いることのないエネルギー施策を考えていくべきです。
11/20 東京国際通り振興会発足式
蔵前から北上して三ノ輪までの3kmに及び、日本一長い商店街 となりました。大型店舗で済ませる買い物ではなく、一店一店を大切にしてきた浅草の地です。そこには、交流があり、街の安全があり、技術の継承があります。これからも住民と観光客すべての「人」を大切にした商店街であって欲しいと切に願います。
国際通りの名称は、一世を風靡した「国際劇場」があった通りだから。浅草国際通りから東京国際通りへ!
連携した四つの商店街と区内の他の店々の更なる発展を願います。
11/21はじめての福祉団体を学ぶ講座 第1回
地域活動やボランティア活動に興味があっても、なかなか一歩踏み出せない方に向けた講座です。
私は台東区にどんな団体があり、どのような活動をしているのか知るべく全3回に参加申込みをしました。
第1回は、
・台東子ども家庭支援センター『わくわくひろば』
・ 台東区社会福祉協議会『ファミリー・サポート・センター』
の説明と見学、グループでの話合いでした。
実際にボランティアをしている経験者さんからのお話は、これから参加しようとする方の安心に繋がります。事務的な応募要項を並べるよりも、より多くの参加者に繋がると思いました。
11/22 学習会「教科書の記述に見るジェンダー平等」
性の多様性、家族のあり方の認識が変化していく中、教科書は変化しているのか?どう表現しているのか?道徳と歴史分野の各教科書を探究した弁護士さんの講演でした。学校で教わっても家庭で否定されてしまうこともあり、大人へのアプローチも課題と思われます。
11/23 サークルフェスタ2024
区内には様々なサークルがあり、発表を楽しませて頂きました。鑑賞するだけでなく、クイズや食事を通して、来訪者やスタッフさんとの交流の場にもなっています。活動を気持ちよく続けるには、楽しむこと、コミュニケーションをとることが大事なようです。
11/23 TOKYOみみカレッジ2024
難聴者当事者や専門家による講演などがあり、多くの方に知ってほしいことがあります。
▼可視化されない聞こえにくさがある
▼補聴器はあくまでも音を大きくするもの
▼難聴者により「伝える」「伝わる」の手段が異なる、得意や苦手がある
▼読唇を強要しないで
▼「難聴者」と分かると、慌てて過剰に反応されるのが辛い
全国に53頭しかいない聴導犬のお仕事も見ることができました。インターフォン、アラーム、歩行中に物を落とした時などに、主人に教えます。隣の家の音など主人に関係のない音は教えないそうです。
11/24 台東区総合防災訓練
災対健康部の設置・開設、緊急医療救護所の開設訓練は、初めてとなります。永寿総合病院での救護所の開設を見学しました。実際に行わないとイメージがつきませんし、やってみて課題や改善が見えてくるものです。先に行われた委員会では、1箇所だけでなく数箇所行ってはどうか提案させていただき、永寿と台東病院の2箇所で行われました。
▼緊急医療救護所とは?
医師会等と協力して、傷病者のトリアージ、軽症者に対する治療、重症者に対する応急処置や必要に応じて医療機関への搬送手続きを行います。区内6箇所に設置予定。
▼ 避難所医療救護所とは?
急性期以降(発災後72時間以降)は、慢性疾患の治療や被災者の健康管理、感染予防など公衆衛生のニーズが高まってきます。災害関連死を防ぐ大事な役割です。区内11箇所に必要に応じて設置予定。
11/27 部落解放・人権文化フォーラム2024
全体会:
▼政府と独立した人権機関が必要…設置国は120カ国に及ぶ。市民にとって裁判はハードルが高い。準司法的権限を有する機関。政策や法案が人権条約に合致するかを独自に分析、国会に助言や勧告を行う。
▼個別の差別禁止法ではなく包括的な差別禁止法が必要…共通のルールが必要ということ。障害者差別解消法には、“障害者の意見を反映させる“という項がありますが、他の差別解消法にはそのような規定がない。
分科会:
5つに分かれ、私は、もやいの大西蓮さん、在日本朝鮮人人権協会の金さんの講演に参加しました。
11/29 台東区華展と錦秋茶会
浅草の喧騒の中でホッとする清閑な場所のひとつであるお寺で行われました。
亭主との交流や空間全てを大切にする茶道の精神、華を尊び向き合う心は、現代にこそ大切にしたいものと、つくづく思います。
11/29 養育家庭体験発表会&講演
家族と生活することが出来ない子どもを迎え入れた実経験のお話がありました。養子縁組ではなく一定期間共に過ごす制度です。
安心してすごせ成長していく子どもと大人。緊急保護で2泊だけ預かったご家庭。“血のつながり“にこだわらず、家庭にはいろんな形があっていいと思います。
11/30千束幼稚園70周年記念式典
千束小学校で行われました。70年前に、地域の方の署名活動により誕生した幼稚園です。
式典では、地域と園の関わりが双方を支え合っている様子が分かりました。子どもたちは手作りのお神輿をかついで登場、和太鼓を披露してくださいました。台東区らしいです。
おわりに
2024年も残り少なくなりました。台東区議会議員として1年目の時よりも、少しだけ慣れた分、地域の行事や政党の活動に費やせる時間が増えました。しかし、慣れたとしても初心を忘れることはありません。
これから寒くなります。寒さと、室内での寒暖差にはお気を付けて下さい。
よいお年をお迎えください。
ふうさわ純子